私は毎日パレードをしている。
外を歩くたびににぎやかな音楽が流れ、紙吹雪が舞う。
私は心の中で見ず知らずの人に手を振っている。
人気者は、疲れてしようがない。
昔はパレードをする余裕なんてなかったのに
どうしてこうなってしまったんだろう。
私も歳をとったということだろうか。
いや、違うな。
暇なんだろうな、私は、きっと。
■あらすじ
豪邸に住む老いた男。
娘と暮らし病院通いの毎日。
暇さえあればパレードを想像する。それが唯一の楽しみだった。
パレードの先頭に立ち、勢いよく指揮を取った。もちろん空想の中で。
そんな時、生き別れになった腹違いの兄弟に遭遇するも数十年ぶり。お互い喜びの再会とはいかない。
金に困ったことはない男だったが、どうも絆や愛はそんな簡単には手に入れることが出来なかった。
これから兄弟関係は修復に向かうのか…。
娘との親子愛は本物なのだろうか…。
男が勢いよく指揮を取る日は来るのだろうか…。