葬式の時、いつも考えることがある。
部屋を囲った白黒の幕が、シマウマを連想させるのだ。
でっかいシマウマの横で自分がお焼香をしていると思ったら、
なんだかおかしくてたまらなくなる。
参列者は皆ゼブラカラーの服を着て、シマウマ様を
崇めているように見える。
亡くなった方もきっと、この大きすぎるシマウマに乗って
天国へと旅立つのだろう。
それにしてもどうやってシマウマに乗ったのだろう?
きっと脚立を使ったに違いない。
そんなことを考えながら、私は泣かないようにしています。
■あらすじ
古くからある木造の一軒家。
母が死期を迎え、家族が集う中、四姉妹の母に対する想いが交錯する。
幼い頃に家を出た父への愛憎で孤立する三女の奈央は、
誰もいない居間で若きし日の母の幻影を見る・・・。
「母親の死」に向き合う四姉妹の、秋の数日。