<あらすじ>
木村加寿美、39歳、独身、恋愛経験なし。幼い頃から男の子に見間違われ、母が着せるかわいい服を拒むようになった。思春期に女性としての自我が芽生えるものの、いつしか自分を押し殺し、友人たちに合わせる性格に。クラスメイトである秋山に恋をしたが、もちろんその気持ちは押し殺した。人生で恋をしたのはこの一度きりである。社会に出ると、性別を超えた存在として男女問わず友達が増え、その容姿は完全なおっさんになった。女性としての生き方を諦めたこと以外は順風満帆と言える人生で、30歳のとき、加寿美は念願であった自分の店(バー)を開店。友人たちの計らいで店の10周年と加寿美の40歳を記念してパーティが開かれることとなると、そこへ秋山もやってくる。久々の再会に、昔の想いが沸々と湧き上がる加寿美。物語は高校時代の淡い恋とパーティが同時進行し、加寿美が今まで押し殺してきた“本当の自分”が顔を出す。新たな木村加寿美の、誕生の瞬間。