<あらすじ>
軍事産業で財を成したフタムラ製作所、三代⽬である⼆村儀之介の屋敷。
舞台は儀之介が亡くなった通夜当⽇、その台所である。
喪主を務めるのは妻の美代。彼⼥は第⼆次世界⼤戦で両親を亡くし、⼥中として⼆村家に雇われた。
戦争被害者の美代が軍事会社の⼥中になるという⽪⾁のような運命と、「戦争で儲かる会社などあってはならない」と世襲問題に悩む儀之介。
戦争に翻弄されながら出会った⼆⼈は 60 年前に結ばれ、やがて⼀⼈娘の千⾥を授かる。 千⾥を始め、儀之介の妹たちや姪っ⼦たちとともに、台所で思い出話に花を咲かせていると、とある年輩の⼥性が娘を連れて弔問にやってくる。
それは 40 年前の、⼆代⽬の通夜の出来事……
跡継ぎ問題に揺れる⼆村家に、「儀之介さんの⼦供を授かった」とやってきた⼥性だ。 フタムラ製作所は儀之介を最後に世襲は途絶え、現在は⼈の⼿に渡っている。
この屋敷も儀之介の死をきっかけに取り壊すことになっていた。
これは⼆村家の衰退と、跡継ぎ問題に揺れながら台所を守ってきた⼥たちの、60 年の物語である。